The work is completed
先日進行中だった、ヌメ革長財布のステッチ入れ直し修理の記録。
自転車をお願いしているCROWN CYCLEさんからのご依頼でした。
オーダーで作ってもらったところが閉店してしまい、修理を頼めなくなってしまった。とのこと。
こんなに長く使ってもらえるなんて、お財布としても、作り手としても嬉しいことですね。
お預かりした状態。
伝統的な手法のレザー製品では、ロウ引きした麻糸が多く使われています。
今でもそこに拘って作ってらっしゃる方も多く、これも多分そうなんじゃないかな?と思います。
化繊の糸は摩擦に強いしミシンで高速で縫うこともできますが、
強いが故に革の強度に勝ってしまう。要するに革の方が切れてしまう危険性があります。
洋服でも言えることですが、化繊がない時代は生地も縫い糸も全て天然素材で作られていて、それぞれの織り方、撚り方を変えて強度や風合いを出していました。
昔のコメディ映画で、紳士が揉み合うシーンで、ヨレヨレになったジャケットの袖が肩から縫い目からぺろーんととれちゃった姿がありましたが、化繊の糸で縫っていたら生地が糸に負けて、破れてしまうこともあります。
今回は、ステッチが丈夫な方がよい、とのことで、化繊の糸で、手縫いで入れることにしました。
まず長年蓄積された表面の汚れを、革用のクリーナーで洗浄。
乾燥した後オイルを塗り込んでクリームも塗り込んで保湿。
全てのステッチを解く。
パーツの位置関係をちゃんと記憶して。
手縫いで縫い直していきます。
何度か修理しているようで、いろんなところにステッチあとが残っていたので、
ピッチと針穴がずれないように注意して。
ズンズン縫います。が、縫う順番間違えると縫えないところが出てきます。要注意。
縫い合わせたコバ面を軽くやすりがけ。
抜けたコバの色をちょい足しして。
コバ処理材付けて磨く、を数回繰り返し。
完成。
ちょうど自転車の修理をお願いしていたので、お届けに上がりました。
一安心。
大切な品がまた気持ちよく使えるお手伝いができて、嬉しいです。
ありがとうございました。
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